では、店舗にはどのようなものがあるのでしょうか。
イタリアの消費生協が誇る近代的な販売網は、次のようなクラスの店舗で成りたっています。
第1がグランディ・マガッツィー二。
これは直訳すると大百貨店ということになりますが、その平均売場面積は1722平方メートルなので、日本のスーパーにあたるぐらいの規模と考えていいでしょう。
第2がスーパーマーケット。
日本でスーパーマーケットといえば、ダイエーや西友などを思い浮べますが、イタリアでは消費生協の店舗の大きいものをもスーペルメルカート(スーパーマーケット)といいます。
もちろんスタンダなどの大商業資本の設置するスーパーもありますが。
第3がディスカウント。
第4がスーパーレットです。
ディスカウントもスーパーレットも日本の食品スーパーの小さいものと考えていいでしょう。
なお、これにさらに小さな店舗が1369ヵ所加わるのです。
これらの店舗の中心的存在はスーパーマーケットです。
これは管理の経済性、価格を低く抑えること、サービスを十分なものにする、という目的でつくられてきたものです。
近年、売場面積が1000平方メートルから2000平方メートルの総合スーパーが出だしています。
こうした大型店のメリットは、品数を多くそろえることができ、消費者はいろいろな商品を選ぶことができること、また食品以外の商品をもおくことができるということです。
ディスカウントショップは、南部地域で広がっている店舗で、値段を安く質を良いものをという目標でつくられています。
日本に比べて朝の開店が早く、また昼休の閉店があるというところなどは、イタリアの生活習慣を反映しています。
商品も魚はあまりなく、生鮮食品も比較的少ないです。
他方、チーズやハム、ソーセージ、ワイン、パスタ類、肉、菓子などはいろいろと置いてあります。
店での買物は手押し車のようなカゴに入れて、日本のスーパーと同じように、レジで支払いをします。
1983年の10月に、エミリア・ロマーニャ州のアンツォーラの物流センターとヴェネト州の物流センターを実際に見学した、日本生協連のある方の見聞記では、次のようにのべられています。
「エミリア・ロマーニャ州のアンツォーラの場合も、完成したばかりのヴェネト州の場合も1万坪以上の土地をもつ、大規模なものであった。
庫内作業は自動化はしていないが、入出庫や管理面のコンピューター化はすすみ、附属して青果のパック場やチーズのパック場などがおかれていた。
基本的に商品の売価はここで入れられており、単協によってその統一価格(GP)でまずい場合は、要求される価格でやるとのことであった。
その意味で、センターにあるコンピューターは、単協の仕入、供給に関する統計を集中する機能をもっており、パンや肉などそれぞれの生産組合から直送された商品についても伝票(情報)はすべてセンターに集約されていた。
センターから店舗配送をしているのは配送協組であり、農畜産物やパンなども生産協組やそのコンソルチ(事業体)から仕入れられていた。
また、物流センターの増築のためにコープマークをつけたクレーン車が作業していたが、建設協同組合が工事をうけおっているとのことであった。
『日本では購買生協が自分でパンなどの生産をやっていたが、イタリアではそれは生産協組の役割である』
・・・といわれたが、消費者協同組合の周辺事業体はすべて協同組合といった感じであった」。
コープ・イタリアは正しくは、コンソルツィオ・コープ・イタリアといいます。
消費協同組合の事業体です。
これは全国組織ですが、地方にも事業体があります。
これはコープ・イタリアがあつかう商品を受け入れ、配送する物流センターを管理する単協連合の事業体(コンソルチ)として設置されています。
これらの物流センターは全国で10ヵ所設置されていますが、北・中東部に集中していて、南にはできていません。
そこで南の協同組合を発展させるために、たとえばカンパニア州の妻体と、トスカーナ州の事業体とが提携し、フィレェンツェの物流センターからカンパニア州のコープに供給するといった活動が行なわれているのです。
具体的にはコープ・イタリアの契約書が各地方の事業体に送られ、地方の事業体はそれに基づく受発注、在庫管理、単協店舗への配送を行なっています。
物流センターはどこでも約4.8%程度の商品のマージンで運営されており、剰余ができれば単協に還元するといいます。
コープ・イタリアは、約300アイテム(品目)のコープマークの商品を製造させています。
そのほとんどは食品ですが、家庭用衛生用品もいくらかふくまれています。
これらコープマークの製品は、その45%が農協および加工業、工業の協同組合で、35%が中小企業で、残りの20%が大企業でつくられています。
大企業の比重が低いのは、イタリアにおいては、中小企業や協同組合の生産機能が大企業に比べて劣らないという事情もあると思われます。
コープマークの商品は次の点を訴求点(セールスポイント)にしています。
1.大メーカーのブランドに比肩しうる製品の質の良さ
2.価格が安いという利点
3.ラベルには、食品の成分、原料、栄養価、使用・貯蔵法、原産地、生産・加工の過程が表示してあること
4.技術的にどうしても必要ではない添加物などは排除し、健康を守ることに留意していること
コープマークの商品は、消費者協同組合のオリジナリティを示すとともに、経済的である、健康を保てるように、という趣旨でつくられたものです。
コープ・イタリアには約100人の商務担当がいますが、そのうち25人は青果の担当で、各地の事業体に派遣され、地方の産物の仕入れにあたっているといいます。
また、単協や地方の事業体が新たな商品を取りあつかいたいという場合には、コープ・イタリアの商務担当者が崇けていって調査、判断、契約するというしくみになっています。
なお近年、コープ・イタリア・ノン・アリメンターリ(コープ・イタリア・ノンフード)という組織がつくられました。
これは非食料品・雑貨部門をあつかう共同仕入組織で、大型の単協はこの2つの組織に商品部機能(仕入、開発)をまかせています。
コープ・イタリアの組織と機能も年とともに発展してきました。
最初の段階は、各州ごとに共同仕入の事業体をもっていましたが、1967年にコープ・イタリアが全国で唯一の共同仕入体となり、この段階で物流ネットワークも整備されました。
さらに1978年に共同事業体の組織整備が行なわれ、物流についての地方分権化がすすみました。
それにともなってコープ・イタリアは、物流に関しては、メーカーなどとの製造、仕入についての契約のみを行なう組織となりました。
コープマークの商品を売り出すコープ・イタリアが1981年にあつかった商品の総額は9192億9000万リラです。
9192億9000万リラといえば、同じ年のANCC傘下の消費生協の総事業高の55.2%にあたる数字です。