占いが神との直接の交流から表象の読解へと変化するにつれて、解釈の仕方が占いの重要な要素となります。
すなわち、前兆をいかに正しく読みとるかが、占い師の腕の見せどころとなったのです。
こうして占いはさらに推理小説的になっていく。
次の『今昔物語集』の登照のエピソードは、占いが推理小説的であることをよく示しています。
登照は平安中期に活躍した占い師です。
ある日、登照は用足しのために朱雀門の所を通りがかった。
門の下には何人もの人が休んでいたが、登照が見ると、そのすべてに死相が出ています。
驚いた登照は、これらの人がすべて死ぬとはどういうことであろうか、と考えた。
悪党が殺獄を行なうにしても、全部が一度に死ぬようなことにはならないはずです。
いろいろ思案しているうちに、ひょっとしたら門が倒壊するのではないかと思い当たった。
そこで登照は門の下の人々に、「門が倒れて押し潰されてしまうぞ早く逃げろ」と呼びかけた。
その声に何人かは急いで逃げたが、何人かは登照のことをあざ笑ってそのまま残っていました。
ところが、風もなく、門には歪みもなかったのに、突然、門は地響きをたてて崩れ落ちたのだった。
登照の忠告を聞かなかった者たちは、その下敷きになってみんな死んでしまった。
この話では、門下の人々の死相をどう推理するかにポイントがあります。
もしも登照が悪党による殺獄と解釈したら、おそらく赤恥をかくことになったでしょう。
さて、世の中には色々な占いがありますが、占いはこちらだと言うところに行ってみたいものです。